京極　高清きょうごく　たかきよ

京極騒乱

京極孫童子丸との家督争い

応仁の乱での京極氏は、親族である管領・細川勝元が率いる東軍に属して祖父・持清や父・勝秀が参戦し、近江にて同族で西軍の六角高頼と戦った。
六角氏との戦いの最中に父と祖父が相次いで死去すると、京極持清の次男・政光が高清の兄・孫童子丸を擁立、細川勝元へ働きかけた結果、幕府は京極家の当主に孫童子丸の家督相続を認め南近江の六角政堯を守護職補佐に任命した。これに反発した、持清の三男・政経は高清を擁立し東軍から西軍へと鞍替えし、京極騒乱と呼ばれるお家騒動が勃発した。
　　孫童子丸派には京極政経と一族出の近江守護代・多賀高忠が付き、高清派には京極政光と飛騨守護代・多賀清直が付いて、京極家中を巻き込んだ事態へと発展する。

孫童子丸が家督相続から1年後、1471年に孫童子丸が早死にし、今度は政経と高清の争いが勃発した。序盤は政経が優勢であったが、追い詰められた高清派の政光は、美濃小守護代の斎藤妙椿の支援を受けて西軍の京極高清派（京極政光・多賀清直・多賀宗直・六角高頼・斎藤妙椿）ら連合軍は京極政経を破り、越前へ敗走させる。
この結果、高頼が京極家の家督を継ぎ飛騨・出雲・隠岐守護職となった。※近江守護は政堯の養子・六角虎夜叉が補任された。

しかし、1473年に幕府より高頼が飛騨・出雲・隠岐守護職を解任されると、京極政経が代わりに飛騨・出雲・隠岐守護職を補任した。出雲へ落ち延びていた京極政経と多賀高忠は、出雲の国人衆を率いて上洛し、延暦寺僧徒と信濃の小笠原家長ら東軍の支援を受けて近江へ進攻し、観音寺城下で西軍の六角高頼・京極高清・多賀清直・多賀宗直の連合軍は大敗する。
敗れた六角勢は観音寺城へ籠城し、京極勢は江北へ撤退する。この勝利によって幕命が下り、六角虎夜叉の近江守護職は解任され、京極政経が近江守護職に補任された。
美濃守護・土岐成頼と越前・尾張・遠江守護斯波義廉の援軍が近江へ到着し、西軍の反撃が始まる。高清は西軍の六角亀寿丸・斯波義廉・土岐成頼・斎藤妙椿ら連合軍と共に京極政経・多賀高忠らを破り、多賀高忠を京都に敗走させるも一進一退の攻防は応仁の乱後も続いた。

京極政経との家督争い

1486年に出雲に下向していた京極政経が上洛、高清の家臣多賀宗直が京極政経に通じて反乱を起こした為、高清は近江甲賀郡へ逃れたが、反撃して多賀宗直を破り、1487年に美濃から江北へ戻り多賀宗直を討ち果たした。
六角高頼が近江国内の公家・寺社の荘園荘園や幕臣の所領を押領し、幕府に対して反抗的な態度を示すと9代将軍・足利義尚は自ら六角氏へ征伐に乗り出した（長享・延徳の乱）。
高清は征伐軍に加わったが、六角征伐の最中の1488年に京極政経・多賀経家らが挙兵した。高清は近江松尾で戦い、京極政経と多賀経家を伊勢梅津へ敗走させたが、1489年に近江国人衆の支援を得た京極政経に敗れて追放、1490年に美濃の実力者・斎藤利国（妙純）を頼り越前敦賀、近江坂本へ逃れた。

京極騒乱の終結

1497年、高清の盟友・斎藤妙純が一揆勢に囲まれ戦死する。高清も没落し美濃海津に逃亡すると。1499年に京極氏重臣・上坂家信の助力により江北へと帰還、京極政経は出雲の守護代・尼子経久を頼り下向し、1505年に京極政経の子で従弟の京極材宗と和睦し、35年続いた家督争いを終焉した。
その2年後の1507年に政経の嫡男・材宗を自害に追い込んで領国統一を成し遂げ、上坂家信の元で北近江の統治を行った。

浅井氏の台頭

嫡男・高広との戦い

応仁の乱と家督相続の混乱で、出雲・隠岐・飛騨・北近江の4ヶ国あった京極氏の領地は、高清の治世時には北近江（近江半国）のみとなってしまった。出雲・隠岐は同族で守護代の尼子経久に押領され、飛騨は国司・姉小路済継と同族の三木直頼に支配され失ってしまった。
上坂家信の死後は、家信の嫡子・上坂信光を頼りに統治をしていたが、1523年に跡継ぎを巡り、長男高広（高延）を押す浅見貞則・浅井亮政ら国人衆と、次男・高吉を押す高清と信光らに家中は二分する。
結果、京極氏の跡目争いが再び起こり、1524年に高広派の国人衆（浅見貞則・浅井亮政ら）と高吉派の高清・上坂信光らは戦い（国人一揆）へと及び、敗れた高清と信光らは尾張へと逃れる。
盟主・浅見貞則の専横的な領国支配に対して、浅井亮政を旗頭に国人衆が貞則一族を江北から追放する。その後、江北の実権を握った浅井亮政に不満を募らせた高広は、家督相続で対立した高清と和解し、六角定頼の支援を受けて反亮政派の国人衆と共に亮政に対決姿勢を取った。

晩年

京極氏を立てながらも江北支配を固める浅井亮政に敗れた高清は、1534年、高広と共に亮政の居城である小谷城へ招れて饗応を受け和解する。
こうして、江北の実質的な支配は下克上により京極氏から浅井氏へ移る。しかし、高吉は浅井氏の後見を否定し、六角定頼を頼った。実質上六角氏の江北進攻の旗頭となる。
高清・高広父子は、浅井氏の居城である小谷城（京極丸）にて暮らすが、後に高清のみ上平寺城へ移り1538年に没した。享年79。