生涯を北条家と争った古河公方一門
足利 藤氏
概 要
古河公方４代目・晴氏の長男。古河公方の後継者だったが、父・晴氏が北条家に敗れ、北条家が弟の義氏を擁立したため、謙信と共に協力し北条家と対抗するが最期は北条家の捕虜となった。
ポイント
- 4代古河公方・足利晴氏の長男
- 鎌倉公方になるはずだったが北条家に破れ実現しなかった
- 上杉家と共に北条家に対抗するが最期は北条家の捕縛となる
誕生・死没
- 誕生：不 明
- 死没：1566年
名 前
- 幸千代王丸（幼名）
所 属
略 歴
| 1546年 | ？歳 | 父・晴氏が河越夜戦で大敗 |
| 1557年 | ？歳 | 古河御所奪還に失敗 |
| 1561年 | ？歳 | 上杉謙信が関東出兵 |
| 1562年 | ？歳 | 古河城が北条家によって落城 北条家に捕らわれる |
| 1566年 | ？歳 | 以降、終息不明 |
古河公方の長男
第4代古河公方・足利晴氏の長男として生まれる。母は簗田高助（古河公方の家臣）の娘。室町幕府13代将軍の足利義藤（後の義輝）から偏諱を与えられており、将来は京都の室町幕府からも認められた次代の古河公方となるはずであった。
北条家の台頭
父・晴氏は継室として北条氏綱の娘・芳春院を迎えていたが、氏綱の跡を継いだ北条氏康と敵対した。晴氏は関東管領の上杉憲政や上杉朝興らと同盟して北条氏と対抗し、北条領へ侵攻するが、1546年、河越夜戦で大敗した。氏康は晴氏を隠退させ、異母妹である芳春院の息子で、北条の血を受けた足利義氏（藤氏の異母弟）を古河公方とした。
上杉謙信の関東侵攻
謙信関東出兵
北条氏康が弟の義氏を古河公方へ擁立したことに反発した藤氏は父と共にこれに反発し、1557年に挙兵して古河御所奪還を試みるが失敗。晴氏は栗橋城に幽閉され、藤氏も追放された。
それでも藤氏は安房の里見義堯を頼って再起の機会を伺った。また藤氏に従う簗田晴助（義息子）らは長尾景虎（後の上杉謙信）に救援を依頼した。永禄4年（1561年）、景虎はついに関東へ出兵。藤氏救援という名目だけでなく関東管領の上杉憲政、関白の近衛前久を擁し、大義名分を十分に得た軍勢は関東の諸豪族の応援で10万余にまで膨れ上がった。小田原城ら諸城に籠城する北条方を攻め切れなかったものの、藤氏は義氏を放逐して古河御所の奪還に成功した(小田原城の戦い)。
古河公方就任
古河公方擁立に成功した長尾景虎は、上杉憲政から上杉の家督と関東管領の地位を譲られ、「上杉謙信」と名乗った。
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また、謙信は、上杉憲政、近衛前久らと共謀して、義氏の古河公方就任を完全に否定し、関白、関東管領の名において藤氏を足利晴氏（前年死去）の後継として正式に古河公方として任命した。これを佐竹氏・里見氏ら反北条氏の関東諸大名も受け入れたため、数年の間、足利藤氏は正統な古河公方となったのである。
敗 北
謙信が藤氏を残し越後に帰国すると直ちに北条氏は反撃を開始し古河城を攻撃した、藤氏は里見氏家臣の多賀信家（蔵人・高明）が治める上総池和田城（千葉県市原市）へ逃れた。以後、古河を巡って上杉と北条は争奪戦を繰り広げ、藤氏も上杉方の代表として古河に入ったり上総に脱出したりを繰り返した。だが、1562年に北条軍が古河御所を攻略した際に藤氏は捕虜となって小田原に送られた。
最 期
北条氏へ捕らわれの身となった藤氏は相模・伊豆といった北条領内を転々としたとされるが、1566年以降はその消息が不明になる。一説によると北条氏康によって暗殺されたともいわれている。
